メンタルヘルスの最終ゴール

 最良の精神科の治療ってなんなんでしょうか。ずっとこれを考えていてなかなか答えがでないんですよね。情報革命、創薬技術、脳科学などの分析などによって、精神科の周辺はさまがわりしました。内科とか外科よその科の進歩はすごいなと思います。精神科の治療は確実によくなってますし軽傷化しているというのは実感としてあるんですが、自殺数自体をみると、さがってはいるんですが、他の死因とくらべてしまうと相対的に目立ってきているんですよね。

 私の考えですと心というのは世界の連続性につながるフラクタルパターンで自我意識と自由意志を持っていると勘違いせざるを得ないそもそもの存在が認知的矛盾をはらんだものという定義で考えておりまして(ちょっと難しいですよね)その矛盾を根本として、存在する論理的感情的なブラックボックスというものだと思ってます。

 まあ難しいことをいってますが、簡単にいうと神様の仕様でバグ満載の自分を頭がいいと勘違いしているOSで、ハード自体もファミコンの基盤(脳幹)の上にむりくりスーパーファミコン(中脳)のっけて、その上にプレステ2のっけてさらにエヌビデアの最新グラボ(前頭葉)をのっけたみたいな昔のセガみたいな無茶苦茶な仕様のものなんですね。これは進化の過程で機能を足していった結果、PC用語でいうところレガシーデバイスを捨てることができずに仕様の上に仕様を足した結果、無茶苦茶矛盾だらけの仕様になったんです。

 その矛盾の最たるものは自由意志がある証拠なんてどこにもないのに、(自由意志があるかどうかの議論はおいといて)自由意志があると思わなければ生きる意欲自体がなくなってしまうというバグです。量子力学まで分解した結果、あるかどうかまったくわからないものをあると思わなければ人間として成り立たないなんて本当に気持ち悪いなと私は思っています。

 その結果、ありのままの現実をありのまま見る事がほぼ不可能になり現実との脳の状態調和がとれなくなることがおきて、例えるなら都市としてのインフラはローマ時代のままなのに、仕事は複雑になり第三次産業がガンガン発達して道路も複雑になり人口は爆発してちぐはぐな矛盾だらけの都市みたいな状態と、成熟は早いし生存はちょろいけど、よりよく生きる為には覚えることがもう増大しすぎてわけわからないといった状態が生まれているように見えます。

 その結果、環境のストレスと心のストレスがごっちゃになってうつ病になるとか、強迫症状みたいに不安をコントロールできずにループ回路ができて脳が焼けてしまうとか、感情と不安に左右されて判断をあやまるとかそういう残念な生き物になってしまったわけです。ミームやマインドセットと呼ばれるアプリの力でなんとかかんとか正気を保ってますけど、まあ残念なところがあるわけです。 その結果、美味しい御飯をつくったぜやったー→肥満爆増、お酒のちからでストレス開放→アルコール依存症出現、夢中になれる娯楽作ったぜやった→インターネットゲーム依存出現。みたいな俯瞰してみると、いろいろ突っ込みどころがある事象が起き、それに引っかかった人は資本主義というでっかい車輪の下でぺしゃんこになるわけです。

 氷河期に獲得した寒いときはテンションを下げて生存確率を上げる機能も暴走して気分障害として残っていますし、 統合失調症自体は、おそらく現代社会に特有なものでなく、グループの中に小さな違いに敏感なカゴのカナリア遺伝子をいれておくことで生存確率を上げるために生き残ったのだとは思います。

 そういった全体像を掴むと、精神病やうつ病をふくめメンタルヘルスの問題自体はそもそも特殊な人がなるものでなく、彼岸ではなく此岸の問題なのです。

 そもそもおそらく精神障害に関してはたとえば富国強兵みたいに国全体性の生産性をあげるという目的のなかでは、国が税金をかけてまでやるプロジェクトにはなかなかなり得ないし(戦争に勝つためにうつ病をへらそうとは思えないでしょう)、今までも、おそらく様々な形で差別され排他されてきたのでしょうが、今、健康度があがり全体を見渡すと、これは私以外の問題でなく全体の問題だってことに気がついてきているのが、発達障害などの問題ではないかと思います。特に今は全体主義的な様相はなく個人主義の時代ですので、個人の健康は関心が高く、メンタルヘルスの問題が隠されたものでなくオープンに語られるというのは世界に余裕がでたのと、脳の根本がポンコツであるという事実にみな気がついたというのも大きいのではないかと思います。まあ、もちろんそう思ってない人も沢山いると思います。PTSDなんてないなんていう人も居ますし。概念は道が通じないと生まれないので仕方ないとは思います。

 不健康な人が省みる余裕がなかった時代はとっくに終了し色々な余裕がある中でメンタルヘルスにリソースを割けるのは本当にいいことだと思います。

 ここで最初の質問にもどると、最良の精神科医療とは

 ”ポンコツの脳と体を理解し、それを健康という範囲でコントロールすることがゴール”

という事になります。

とすれば

理解(健康と脳と体の機能)

コントロール(考え方や行動で)という二つのゴールをどう達成するかが課題になります。

 これをどうやって効率的に楽しく、生活の中でやっていくかというのが私の根っこの考えです。

 余談 

とすると、単純そうですけど、人はポンコツであり同時にある程度の類似パターンはありますが、一人の人間ですら時間軸をたどると一貫していることはほぼなく、その二つの軸は常にたゆたうので汎用性のある解決作を提示するのは非常に難しいということになります。またその解決を提示する物がもともとポンコツでバイアスの固まりである人間がやるので、矛盾だらけになってしまいます。

 他の科と比べて特に難しいところはその治療に対するエビデンス(証拠)を集めるのが難しく、また体の健康はホメオスタシス(恒常性)にのっとるので数値化しやすいのですが、心の指標は多岐にわたりわかりやすい数値化は難しいところです。しかし、これは間違いなくAIの登場でかわると思います。AIはシナプスのように曖昧な接続に基づかず、人よりもバイアスを排除しやすい特徴があるので、上手く成長できれば人の心の健康を評価できるデバイスになる可能性が高いです。 

 ところがややこしいことにAIを操るのは人間なので、今までにおきた問題はまた繰り返される可能性も非常に高いと思います。AIを操り作る人間に利する方向に傾いて進化するのでまた新しい疾患がでる可能性があると思います。

 

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